地方独立行政法人 北海道道立総合研究機構

これからの地域運営と行政の役割

The Future of Community Management and the Role of Government

地域を取り巻く現状

2014年に公表された(通称)増田レポートでは「消滅可能性都市」という言葉が使われ、関係者に大きな衝撃を与えました。 その後、自治体も様々な対策を進めてきましたが、人口減少を食い止められた自治体はごく一握りで、大半の自治体では今後も人口減少が続くと考えられています。
一方で、実際の現場をイメージしてみたとき、行政職員や地域住民が、ただ指をくわえて自市町村の「消滅」を見守る、という状況は考えにくいでしょう。
少なくとも今の時点では、そうした方々が、仲間も資金も減っていく中で、必死になって、地域の存続なり、再編を考えている状況ではないでしょうか。
こうした現場に対しては、特に、国の施策としての人口減少対策(主に「緩和策」)だけでなく、人口減少は避けられないという前提での新しい地域のあり方の検討(適応策)が求められています。

これからの地域運営と行政の役割

人口減少を前提とした地域のあり方を考える上では、地域運営について、これまでの行政と地域の役割分担を見直し、再編していくことが必要です。 もともと国主導の入植の歴史を持つ北海道では、地域住民が行政に対して「あれをしてほしい」「これを作ってほしい」と訴える、いわゆる陳情型の関係が強いと言われています。 しかし、いまや北海道内の多くの市町村では、行政の人員削減、財政縮減が進み、陳情型に限らず、従来の行政と地域の役割分担は成り立たなくなってきています。 そうした役割分担の再編を考える上でカギとなる2つの視点があると考えています。
 1つは、これまでの体制に代わる地域運営の担い手とその体制を、いかにして作るかという視点です。 地域によっては、新たに組織を立ち上げることになるかもしれないし、別の地域では、既存の組織の再編で対応することになるかもしれません。 こうした組織は「地域運営組織」と呼ばれ、総務省を中心に、農水省、国交省もその設立と活動の支援を積極的に行っています。 ここでは主に地域運営組織の形成・運営について、その必要性と合わせて詳しく紹介しています。
 もう1つは、地域運営の仕事を、いかにして地域運営組織の仕事に転換していくか、という視点です。 これまで行政や、民間企業が提供してきた各種サービスを、地域運営組織が引継いでいく場合に、それを単純に地域にお願いすると、「押し付けだ」と反発をうけるのは必至でしょう。 地域運営組織の仕事は、ある面は地域住民のための公共的なものであり、またある面は組織維持のためのビジネスとしてしっかり対価を得て取り組んでいく必要があります。 そうした考え方を共有するとともに、実際の運営や法制度上の課題をしっかり乗り越えていく必要があります。 また、この視点で、いくつかの具体的な地域課題を取り上げて、紹介しています。
 地域運営の再編を進める上で、地域住民たちが自ら声を上げ、行政がそれを支援するという形は、理想的です。 全国的に先進事例と言われるものも、実際、そうした形で出来上がったものが少なくありません。 しかし、多くの地域は、すでに活力を失いつつあったり、どこかで楽観視していたりと、地域からのアクションが期待しにくい場合が少なくありません。 こうした地域では、地域住民が適切な危機感を持ち、主体性をもって動き始めるように、少なくとも最初のフェーズは「誰か」がその起爆剤となる必要があります。 そして地域の中でそれが期待できるのは、市町村職員の方々です。

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